KANONは、ピンクに特別な思い入れがある。「自分はピンク、妹は水色が両親から決められたテーマカラーで、気づけば自分の色として親しみを持っていた」という。また『シャイニング』などのホラームービーのモチーフを好む一面も。ピンクとホラー、一見相反するような嗜好性が、ナチュラルに彼女自身の中に存在しているところに注目し、「甘さを徹底的に排除した青みピンクを全体に効かせて、ギーク感のある表情を引き出した」(村松さん)のがこのメイク。スパークルなピンク(1)をアイホール全体に効かせてから、メタリックな青みピンク(2)で上下にラインを引く。「二重幅程度の太さにして、ぼかさずグラフィカルにまとめると、甘さが抑えられダークなニュアンスが生まれます」。リップにもはっきりとしたピンクを使い、唇の形に沿ってのせてから、ツヤのあるリキッドカラー(4)を重ねて質感を操作し、ドラマティックに。チーク(3)は目の下からふんわりと広めに。さまざまな質感を掛け合わせることで、全体がピンクでもメリハリのある表情に。
捉えどころのない、スイートな魅力。
渋谷の某デパート、18時50分。ピンクのネオンの中で、ピンクのメイクアップが施されたKANON(かのん)の表情がエモーショナルに浮かび上がる。「学生時代、ピンクのアイシャドウを塗っていました」と、ピンク好きを公言する彼女は、現在大阪に住んでいる。「今はモデルの仕事が忙しくなり、毎週東京に通っています。いろんな人に会えて、たくさんの刺激がある街」と、東京のチャームを毎週探している最中だ。一見、スイートな雰囲気ではあるが、どこか捉えどころのないムード。聞くと、スリリングでホラーに満ちたカルチャーが大好きなのだとか。「『ミッドサマー』(映画・2019)の血が果実っぽく見えるシーンになんだか惹かれる」。グロテスクな世界の中で、“美”を見出す。ダークロマンティックを地でゆくKANONのさらなる飛躍に、心が躍る。
話を聞いたのは……
村松朋広
時流を読み個性を引き出す独特の手法で、雑誌や広告等多方面で活躍するメイクアップ・アーティスト。クリエイティブディレクターや商品企画アドバイザー、画家の顔も持つ。クリーンビューティーへの造詣も深い。
問い合わせ先/アディクション ビューティ 0120-586-683
アンプリチュード 0120-781-811
エンケル 03-6812-9897
カネボウ化粧品 0120-518-520
コスメデコルテ 0120-763-3253-770
マーランド バッカス www.marlandbackus.com
Photos(model): Yuichiro Noda Photos(cutout): Shinsuke Kojima, Daigo Nagao Stylist: Marie Higuchi at TRON management Makeup: Tomohiro Muramatsu at sekikawa office Hair: Yusuke Morioka at eight peace Text: AYANA, Toru Mitani Editors: Toru Mitani, Kyoko Muramatsu
※『VOGUE JAPAN』2022年10月号「KIDS IN CONTROL」転載記事。
